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巨大迷宮と学園攻略科の魔術師 レビュー

巨大迷宮と学園攻略科の魔術師/樹戸英斗

巨大迷宮と学園攻略科の魔術師/樹戸英斗


電撃文庫より7月の新刊「巨大迷宮と学園攻略科の魔術師」のレビューです。

基本情報
巨大迷宮と学園攻略科の魔術師
作者 樹戸英斗
イラスト 玲衣
ジャンル 学園、ファンタジー


あらすじ
私立天乃川学園―
異世界ゼラに広がる巨大地下迷宮の攻略を目指す生徒達が集う学園。
その名も「攻略科」では、生徒たちが大規模サークルやパーティーを組んで、未踏のダンジョン制覇を目指していた。
今年入学した荒田維留もまた、ダンジョン攻略を目指す魔術師であった。
補助系魔法を操る大橋紗夜香、近接戦闘の前衛・矢城衛健吾、医療系魔法の使い手リオ・ヴィヴィアンヌらとパーティーを組み、冒険へと旅立つ。
さらに入学式の日に出会った天才万能魔術師、星沢織姫と同じ寮に住むことになり―。
波乱万丈リアルRPGストーリー開幕!


評価
.キャラクタ:☆☆☆☆☆☆☆ 7
  イラスト:☆☆☆☆☆☆☆★ 7.5
.ストーリー:☆☆☆☆☆☆ 6

.ドタバタ度:☆☆☆☆☆☆☆☆★ 8.5
..総合評価:☆☆☆☆☆☆★ 6.5
オススメ度:☆☆☆☆☆☆ 6



感想
とりあえずこの本を購入した動機は「地雷を踏みたかった」。
ええ、反省しています。
でも、さわりの設定だけは面白そうであるといえば面白そう。
未開拓の巨大迷宮を仲間と一緒に攻略していく。
これでドキドキしない男児はなんなのか?(言い過ぎ)

そう、設定は面白いのは間違いないのだが、その設定に付随してくるバックボーンがどれも描写不足しており、素人意見ながら疑問点がどんどん浮かんでくる。
その疑問点がまったく解決されないまま次の疑問点が浮かんでくるため途中からうんざりしてくる。
各設定の整合性がすりあわされておらず、とてもリアルRPGストーリーとは言えない代物であった。

まず学園のシステムがおかしい。
学園攻略科には5000人ほどが在籍しており、新入生が入る4~6月には例年100人程度の死者が出るという。
つまり2%は死んでいる計算になる。
それなのに特別なカリキュラムを組もうとせず、むしろダンジョンで活躍ポイントをためないと退学までありうるという設定がもうおかしい。
主人公も高校編入して2週間でパーティを組んでいるようだが、この学園のカリキュラムはどうなっているのだろうか。
そして物語中盤で明かされる、冒険者たちの適性。
なんと高校卒業後くらいからデバイスとのシンクロ度が低下し、多くの生徒は冒険者を生業とできなくなる。
その人たちの将来はどうなるの?そういったことを全く考えず、利益だけ享受している学園とその関連企業に腹が立つ。

次に魔術師の存在。
この世界における魔術師はゼラ(地下世界の名称)にいった生徒が特別得られる能力、というわけではなく、世界中に存在しているらしい。
ゼラが発見されてから魔術師がこの学園に集結してくるのは当然の心理であり、まだ納得がいく。
ではそれ以前の魔術師世界はどうなっていたのか。
一応主人公視点でちょろっと描かれているものの、それは魔術師世界の中での話であり、一般世界との関連性が全然描かれていない。
そういう設定を入れるならゼラ発見前後での魔術師の扱いの変化は絶対押さえておきたいはずなのにノータッチだったのでかなりいらいらした。

そして一番ダメなのが、登場キャラクターの心理描写。
リアル系を謳うなら彼らの心理描写がリアルでなければだめだと思う。
そこが全くリアルに即しておらず、物語の完成度を大きく下げている。
先ほども述べたようにこの学園では3カ月で100人は死ぬような過酷な世界である。
しかし部活の勧誘から主人公の心理までどこかちゃらんぽらんな様子が伝わってくる。
あなたたちは近くの丘へピクニックに行くのですか?モンスターの出る未開の地へ旅立つんですよね?
経験豊富な高校3年生の有名人でも油断していればワンパンであっさり死ぬというのに、主人公一行はその危機が過ぎればもう忘れちゃうって感じで水遊び。
あなたたちの目の前で死んだ人たちはなんだったのですか?
喉元過ぎれば熱さ忘れるということわざを体現しているかのようだった。
そうかと思えば今度はヒロインに秘密がバレ、異世界でヒステリックになる主人公。
それをやるならもっと魔術師世界がどうなっているか描いておかないと。
この場面展開も急すぎてもうついていけなくなった。

物語終盤では巨大モンスターの襲撃に対して主人公たちが抵抗する、王道展開に。
だけどそこでも主人公の能力がいきなり覚醒しました、モンスターが死んでいきます。
……えぇぇ~。そうなるんですか。
この話ってパーティ組んで戦うのがいいんじゃないの。もう戦略とか関係ないじゃん。
そして主人公の暴走もヒロインの言葉で解決しちゃって、結局主人公たちは労せず巨大モンスターの襲撃を抑えましたとさ。
うん、全然心に響いてこない。

ここまで読んできてもう頭痛がしたので最後のほうは内容すらほとんど記憶に残っていないが、さらに追い討ちをかけるかのように続刊前提の引きでラノベとしての完成すら拒んでいる。
本当に何がしたかったのだろうか。
これまで挙げてきた疑問点が解決されたら、じゃあ面白くなるかといったら、それはそれで冗長になっていただろう。
というかこの作者にその技量が感じられず、また新たな疑問点を盛るだけの結果になりそう。
なんであれ、次は読みません。
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テーマ : ライトノベル - ジャンル : 本・雑誌

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